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しつこい片頭痛や、肩から首にかけてじりじりとまとわりつく緊張型頭痛でお悩みの方は少なくありません。
治療といえば、多くの方が神経内科の「頭痛外来」やペインクリニックを受診されることでしょう。
もちろん、それらは現代医療において重要な選択肢です。
しかし、そこで処方される鎮痛剤は、例えるなら“目の前の火”を鎮めるには有効でも、その火がどこから着いたのか——つまり“火の元”までは消しきれないことが多いのも事実です。
私はこのコラムを始めるにあたり、慢性頭痛の世界を、地上300mほどの高所から見下ろすように、少し引いた視点でお話ししてみたいと思います。
いわば大江戸の町を俯瞰するようにして、今、日本の多くの人が悩まされている頭痛を“火事”に見立てて考えてみるのです。
小説やテレビ時代劇で一世を風靡した『鬼平犯科帳』。
その主人公・長谷川平蔵(史実にも登場する人物)は、江戸の町に巣食う巨悪を次々と討ち取り、市民から喝采を浴びた人物でした。
彼が担った役職は「火付盗賊改(ひつけとうぞくあらため)」。
火事や盗賊といった、人々の生活を脅かす災厄を取り締まる“最後の砦”だったわけです。
ところが現代の日本でも、この“火付盗賊”のように、人々の生活を静かに、しかし確実に脅かす存在がいます。
そう、片頭痛をはじめとした慢性頭痛です。
“火付”とは、側頭筋を包む膜などに炎症を起こし、痛みを発すること。
“盗賊”とは、ときに耐えがたい痛みにより貴重な時間を奪い、さらに鎮痛剤などの出費を強いること。
じつに巧妙で、神出鬼没。
まるで平蔵が追いかけ回していた凶悪な火付盗賊のように、人々の生活にたびたび忍び寄るのです。
では、この“火付盗賊”の正体はどこに潜んでいるのか。
多くの方は、当然のように「内科領域」にその手がかりを求めます。
しかし、そこで原因が見つからないことも少なくありません。
むしろ見つからないことの方が多いのではないでしょうか。
それもそのはず。
慢性頭痛の一部は、内科医の視界からすると“お山の向こう側”、つまり歯科——特に“噛み合わせ”に原因が隠れている可能性があるからです。
頭痛の原因が、じつはお口の中のわずかな噛み合わせのズレにあった——。
これは決して珍しい話ではありません。
今から23年前のことです。
とある患者さんの顎関節症治療の最中、偶然のように、しかし確かに“一筋の光”のような手がかりが現れました。
マウスピースの、ある特殊な作り方。微妙な調整によって、噛み合わせのバランスが整い、その患者さんの頭痛が劇的に改善したのです。
あれから今日まで、私はこの方法をもとに約550例に及ぶ慢性頭痛の治療に携わってきました。
もちろん、すべてのケースを完璧に追跡できたわけではありませんが、多くの患者さんで、長年悩まされてきた頭痛が消失、あるいは大幅に軽減しました。悪心・嘔吐を伴うような症状が、すっと消えていった例もあります。
「もともと体質だから」
「低気圧が来るから仕方ない」
「家系的に頭痛持ちだし」
そう諦めていた方が、実際に痛みのない生活を取り戻されていきました。
慢性頭痛は、じつに多くの方の人生を静かに蝕みます。
仕事、家事、子育て、人との約束。失われていく時間や気力は、決して軽いものではありません。それでも、原因が分からないまま、薬だけが増えていく——そんな経験を重ねてこられた方は多いでしょう。
ただ、もしあなたの頭痛の“火の元”が、思いも寄らぬ場所——噛み合わせ——に潜んでいるのだとしたら。
その火付盗賊を、ぜひ一度、歯科の視点から探しにいらしてください。
これからこのブログでは、治療の仕組みや考え方を少しずつ紐解いていきます。
あなたの痛みが、慢性頭痛という名の“火付盗賊”によって奪われてきた日々が、ほんの少しでも取り戻せるように。
現代の長谷川平蔵であるつもりで、私は今日もその追跡を続けています。
※治療効果には個人差があり、すべての方に改善を保証するものではありません。