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当院の慢性頭痛治療について、25年間の記録を集計しました
りょうきデンタルオフィスでは、約25年間にわたり、噛み合わせや顎関節、咀嚼筋の状態に着目し、マウスピースを用いた慢性頭痛への歯科的アプローチを行ってきました。
このたび、これまでの診療記録を振り返り、慢性頭痛を対象として治療を行った患者さんの経過を集計しました。
対象となった患者さんは343名です。
今回の集計は、あらかじめ研究計画を立てて実施した臨床試験ではなく、過去の診療記録をもとに治療経過を調べた後ろ向きの診療データ集計です。
そのため、当院でどのような経過が記録されていたかを示すものであり、マウスピース治療の有効性を科学的に証明するものではありません。
343名の治療経過
約25年間の診療記録を集計した結果は、次のとおりです。
| 治療経過 | 人数 | 全体に占める割合 |
| 当院の完全寛解基準に到達 | 297名 | 86.6% |
| 治療継続中 | 11名 | 3.2% |
| 転帰不明 | 35名 | 10.2% |
| 合計 | 343名 | 100% |
343名のうち297名が、当院で設定した「完全寛解」の基準に到達していました。
ただし、治療継続中の11名と転帰不明の35名については、最終的な治療結果が確定していません。
また、この集計には比較対象となる患者群がないため、完全寛解に至った理由がマウスピース治療そのものによるものか、自然経過やその他の要因によるものかを区別することはできません。
当院における「完全寛解」の定義
今回の集計では、患者さん自身に頭痛の程度を11段階で評価していただきました。
痛みのない状態を「0」、最も強い痛みを「10」として、来院時にその時点の痛みを確認しています。
おおむね月1回の来院ペースで評価し、痛みの評価が「0」となる状態を3回連続して確認した場合を、当院では「完全寛解」と定義しています。
これは当院独自の診療上の判定基準です。
医学研究で使用される頭痛日数、頭痛の持続時間、日常生活への支障、薬剤使用量などを組み合わせた評価とは異なります。
また、3回連続して痛みがないことを確認できても、その後長期間にわたって頭痛が再発しないことを保証するものではありません。
したがって、今回の「完全寛解」は、一般的な医学的治癒や永続的な症状消失と同じ意味ではありません。
転帰不明となった35名について
今回の集計では、35名の患者さんについて最終的な治療経過を確認できませんでした。
その理由には、症状が改善していく途中で来院が途絶えたケースや、治療初期にマウスピースの装着が難しくなり、使用を中止したケースなどが含まれています。
転帰不明の患者さんを、改善した患者さんとして扱うことはできません。
一方、すべての患者さんが改善しなかったと判断することもできません。
今回の集計では、こうした患者さんも含めた343名全体を対象として結果を示しています。
ブラキシズムに関する診療経験
当院では、慢性頭痛とは別に、ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)に関連する症状についても診療を行ってきました。
ブラキシズムに関する患者さんの累計は、約900名以上と推定しています。
ただし、2009年頃にレセプトコンピューターを変更したため、それ以前の正確な患者数を確認できず、累計人数は概数です。
現在、治療を継続している患者さんは81名で、その過半数は数年以上にわたって診療を受けています。
なお、このブラキシズムの患者数には正確な集計ができていない期間があるため、今回の慢性頭痛343名のデータとは分けて取り扱っています。
また、ブラキシズムと頭痛の関係は患者さんによって異なり、ブラキシズムがあることだけで頭痛の原因と判断することはできません。
今回の集計からわかること、わからないこと
今回の診療記録からは、当院で慢性頭痛に対する歯科的治療を受けた343名のうち、297名が当院独自の完全寛解基準に到達したことが確認されました。
これは、当院における長年の診療経過を振り返るための資料です。
一方で、今回の集計には次のような限界があります。
- 比較対象となる患者群がないこと
- 頭痛の種類別の治療結果を示していないこと
- 治療開始時の症状の重さや治療期間を統一して評価していないこと
- 治療後の長期的な再発状況を評価していないこと
- マウスピース以外の治療や自然経過の影響を区別できないこと
- 35名について最終的な転帰が確認できていないこと
そのため、今回の結果をもって「慢性頭痛の86.6%がマウスピースによって治る」と結論づけることはできません。
また、今回のデータから、慢性頭痛の多くが噛み合わせの異常によって起こると証明されたわけでもありません。
頭痛と歯科医療の関係を、これからも考えていきます
頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、顎関節症に起因する頭痛など、さまざまな種類があります。
国際頭痛分類では、顎関節症に起因する頭痛が独立した診断項目として認められています。
一方で、すべての頭痛が噛み合わせや顎関節の問題によって生じるわけではありません。
歯科医療が頭痛の改善に貢献できる患者さんを適切に見極めるためには、医学的な診断と客観的な評価が欠かせません。
今回の25年間の診療データも、今後さらに詳しく検討するための出発点と考えています。
患者さん一人ひとりの症状に向き合いながら、歯科医療にできることと、その限界の両方を大切にしていきたいと思います。
本記事のデータについて
- 対象:当院で慢性頭痛に対する治療を行った343名
- 対象期間:約25年間
- 研究形式:過去の診療記録に基づく後ろ向き集計
- 完全寛解の定義:来院時の11段階の痛み評価で「0」が3回連続
- 比較対象群:なし
- 外部の査読:なし
- データの性質:当院の診療実績であり、治療効果を証明する臨床試験ではありません
参考資料
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 編『頭痛の診療ガイドライン2021』
- Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. Cephalalgia. 2018.
- Schiffman E, et al. Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders (DC/TMD) for Clinical and Research Applications. Journal of Oral & Facial Pain and Headache. 2014.